- Q
様々な消臭作業を手掛けるヒューマンケアの消臭方法とは?
- A
我が国には、「悪臭防止法」というものがある。
始めの条文には、「悪臭防止法は規制地域内の工場・事業場の事業活動に伴って発生する悪臭について必要な規制を行うこと等により生活環境を保全し、国民の健康の保護に資することを目的とする。」とある。
つまり、規制の対象は「工場・事業場の事業活動に伴って発生する悪臭」であって、個々人の私的な日常生活で発生する悪臭は対象外で、当社が扱うような特別汚損現場も同法の規制対象外なのである。
消臭の作業姿勢は?
近隣住民や地域環境への配慮なく作業をしてよいわけはなく、社会衛生に対する責任と使命を負って、依頼者だけではなく社会一般に対しても相応の注意と配慮をもって取り組まなければならないのである。
嗅覚とは?
人間は「五感」と呼ばれる感覚で多様な情報を感知している。
五感とは、「視覚」「聴覚」「触覚」「味覚」「嗅覚」のことで、我々は、それらの感覚により外部からの刺激に対して反応できるのである。
五感の中で物理感覚と言われるのが「視覚」「聴覚」「触覚」で、「味覚」と「嗅覚」は化学感覚と言われている。
この化学感覚には、ある限られた化学物質に反応を示す機能がある。
嗅覚を刺激する要素である「ニオイ」も一種の化学物質で、人間は、嗅覚作用によってニオイを感知し、何のニオイであるかを認知するのである。
悪臭とは?
当方は、「悪臭」とされるニオイに対して消臭作業を行うのだが、一口に「悪臭」言っても、場所や原因によって多種多様。
これは、もともと数多くの異なった成分が複雑に組み合わさったかたちで構成されているうえ、発生状況・発生原因・発生源などによりその特性も変わり、更に、ガス濃度・温度や水分含有量が異なるためである。
具体的に、悪臭は大きく「窒素化合物系」「硫黄化合物系」「脂肪酸系」の三つに分類される。
これらが、具体的な悪臭となって我々に不快感を与えるのである。
そして、消臭を依頼されるニオイについては、その特性に合った消臭技術を選ばなければならないのである。
主な消臭法は?
主な消臭法には、「化学的消臭法」「物理的消臭法」「換気消臭法」「感覚的消臭法」「燃焼法」「生物的消臭法」があり、更に、「洗浄法」「吸着法」「消・脱臭剤法」等があるが、実際には、いくつかの方法を組み合わせて施工することがほとんどとなる。
当方が主に用いるのは、「化学的消臭法」「物理的消臭法」で、「換気消臭法」「感覚的消臭法」を必要に応じて適宜加えている。
化学的消臭法とは?
「化学的消臭法」とは、消臭成分との化学反応により悪臭成分を臭わない成分に変える方法で、悪臭成分を別な物質に変えてしまうもの。
この化学反応には中和反応・酸化還元反応・高温酸化分解反応があります。
市販されている消臭・芳香剤にも化学的消臭法を用いたものがあるが、現在では、オゾン脱臭法・光触媒脱臭法・プラズマ脱臭法による触媒反応法が代表的な手法になっており、中でもオゾン脱臭法は大きな役割を果たしている。
物理的消臭法とは?
「物理的脱臭法」には、洗浄法・吸着法・被覆法・希釈法・冷却法などがあるが、実際の主な手法は、特殊清掃などの洗浄法や空気清浄機などを用いた吸着法となっている。
洗浄法は根本的な原因に直接アプローチするため即効性が見込めるが、吸着法は絞りきれない原因をターゲットにするため即効性に乏しい。
どちらにしろ、施工の有用性は現場の状況によって判断するほかないのが実状である。
換気消臭法とは?
「換気消臭法」は、最も基本的かつ原始的な消臭法で、窓を開けたり換気扇を使ったりして空気を入れ替える方法。
悪臭の原因に対する根本的な対策ではないため主たる消臭法にはならず、その他消臭作業の合間や最終段階で実施するものである。
これには、補足的に「感覚的消臭法」を用いることも多いが、これは臭気操作を行う手法となるため細心の注意が必要となる。
感覚的消臭法とは?
「感覚的消臭法」には「マスキング消臭」と「ペアリング消臭」の二つの方法があり、「マスキング消臭」は、悪臭よりも強い芳香剤を使用して悪臭を感じないようにする方法で、身近なところで言うとトイレの芳香剤がそれに当たる。
「ペアリング消臭」は、悪臭を良い香りの構成成分として取り込む香料を使用して、良い香りに変えてしまう方法で、「マスキング消臭」に比べて、より優しい香りで消臭効果を発揮することができる。
ただ、この「感覚的消臭法」は、根本的なニオイ対策にはならず、場合によっては元のニオイと相乗して更なる悪臭の原因になってしまうこともあるので、補助的な利用に留める必要がある。
無臭にできる?
「消臭を行えば無臭になるのか?」と言えば、必ずしもそうではない。
ニオイというものは、家や部屋の中にかぎらず、ありとあらゆるところに存在する。
街には街のニオイがあり、森には森のニオイがある。
人にはそれぞれのニオイがあり、物にもそれぞれのニオイがある。
そのほとんどが気にならない程度のニオイだから気に留まらないだけで、仮に「無臭」と感じていたとしても、現実には、どこもかしこも何らかのニオイはあるのである。
したがって、抽象的な表現になるが、消臭作業は、人の鼻にとっては「気にならない程度の自然なニオイ」を、臭気測定器においては「周辺屋外のレベルと同等の数値」を目途として行う。
人の感覚だけだと個人個人の感覚差・感性差によって各人統一した評価を得にくく、消臭成果に疑問符がつけられる可能性もある。
一方、臭気測定器だけではニオイの性質が曖昧になり依頼者の満足度が測れない。
人の感覚を優先させながら、臭気測定器の数値を補助的に用いて客観性を担保することが重要なのである。