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特殊清掃業者、どこを選ぶ?
- A
当社は、残留異臭の二次処理など、他社が施工した現場をやりなおしたことがある。
糞尿ゴミ部屋など、他社が途中で投げ出した現場を引き継いだこともある。
飛び降り自殺など、他社が辞退した現場を請け負ったこともある。
ヒューマンケアは、他社が及び腰になるような現場にも臆することなく対応している。
特殊清掃業の起こりは?

現在、広く使われている「特殊清掃」という言葉は当社による造語。
当社が、その専門業者として本格的に事業を始めたのは2003年。
それまでは、葬祭業の一角で、遺体処置の専門業者として湯灌・納棺サービスを行っており(現在も継続中)、その延長線で、特別汚損現場にスポット対応していた。
当時、特殊清掃業者は当社と埼玉県にある一社だけで、インターネット上(国内)に出てくる業者は当社のみ。
ただ、孤独死・腐乱死体・事件・自殺などは、ここ20年余の内に限って起こっていることではない。
それまでは、遺族や関係者が私事として処理したり、臨時の仕事として、どこかのガテン系会社や個人が苦心して対応したりしてきたのだろう。
当社は、特殊清掃事業を生業として確立してみせ、専門業者として大きく展開した初めての企業なのである。
特殊清掃の費用相場は?

特殊清掃は、一般的に馴染みのあるサービスではない。
並の人生なら一生に一度も利用することはないはず(そもそも、そんな事態に遭遇しないに越したことはない)。
したがって、一般的な市場価格は形成されにくく、そのため、社会において相場感が育まれることもない。
かかる費用は、純粋な需給バランスではなく現場の状況や依頼者の要望によって決まるものなので、適正価格かどうかの判断は非常に難しいものとなる。
費用を知るには?
どの業界業種にも共通することかもしれないが、特殊清掃会社がネットに出している参考価格は、ほとんど“客寄せ価格”。
驚くような安値を唄っている会社もあるが、実際に、その価格で済む可能性はほぼゼロ。
真に受けて先走ると危なかったりする。
かかる費用は、汚損・異臭の程度や、作業の着地点(依頼者の要望)をどこに置くかによって様変わりするため、具体的な費用を知るには、業者による現地調査と見積作成が必須。
“押し売り”が心配されるときは、物件情報、汚染・異臭の状況、要望の詳細を電話で伝えて、作業概要や概算費用を確認するのも一手。
その際の対応が専門性に長け、加えて親切丁寧で好感が持てれば、その業者を現地調査に呼べばよいと思う。
相見積りは必要?

余程の緊急事態でないかぎり、相見積りをとる人は多い。
当社の場合は、誰かの紹介や口コミを参考に問い合わせてくる方も多いので、そんな方々は端から当社を信用してくれ相見積りをとらないまま契約してくれることが多い。
相見積りは、作業の適正化や価格の抑制に資するものなので、依頼者にとって一定のメリットはある。
業者の立場からすると単独見積の方が仕事はしやすいが、公正性を担保して自律することは、長期的には業者にとってもメリットになることなので、当社は相見積りでも難色を示すことはない。
また、自社の実績や技術力をアピールすることはあっても、他社を誹謗中傷するようなことも一切しない。
相見積りの落し穴は?

依頼者の事情によって、画像や電話のみの情報で条件付の見積書をつくることはあるが、原則として、特殊清掃の見積作成には現地調査が必要。
相見積りをとる際に5~6社を呼ぶような方もいるが、これには時間も手間もかかるため、多くの方は2~3社に留める。
ただ、その2~3社の中に優良業者がいるとはかぎらない。
「適当に検索して連絡したら、悪徳業者や素人業者だった」といったこともあり得る。
そもそも、ほとんどの依頼者は特殊清掃に関しては素人なので、仕事の良し悪しを見抜く力は乏しい。
したがって、「相見積もりをとれば良い業者に出会える」と過信しない方がよい。
選択の材料は?

業者選定の第一基準は費用だろう。
費用が安いに越したことはないかもしれないが、現地に来たスタッフの礼儀・印象・言葉遣い・立ち居振る舞いをはじめ、名刺・パンフレット・服装・車両などのハード面などにも気を留めて評価対象にした方がよいと思う。
初動の電話応対で好感が持てない業者は、始めから現地調査を頼まない方がよい。
また、現地調査時に不安を煽るなどして強引に契約を迫ったり、契約するまで居座ったりするのは論外で、そのような業者は即座に断るべき。
特殊清掃は、ある種の職人仕事のようなものでもあるため、まずは“人”をみることが大切だと考える。
企業間に格差はある?
標準的な手法や料金がない業界なので、企業間で格差が生まれるのは不自然なことではない。
当社も、相見積りの一社になることは日常的にあるが、依頼者の好意で他社の見積書を見せてもらうと、現場の状況や作業目的が同じであっても、作業内容や費用が大きく異なっていることが間々ある。
そして、「特殊清掃一式○○万円」等と、呆れるくらい大雑把に記載されているものや、こちらが不安になるくらい作業手法が簡素な見積書を目にすることもある。
中には、社名や項目が印刷されていない市販汎用の見積用紙をつかっている業者もある。
当社は、それらを反面教師にし、できるだけ詳細な記載と丁寧な説明を心掛けている。
実績や技術力はどう測る?
特殊清掃に関して、ほとんどの依頼者は素人である。
近年では、インターネットで膨大な情報を収集したうえで問い合わせてくる方もいるが、それでも、実状の把握は困難。
結局のところ、業者の広告を鵜呑みにせず、信頼性はスタッフの人柄や印象で、技術力は質疑応答の精度や説明の納得性をもって推し測るしかないのである。
ホームページの信頼性は?

インターネット上に「特殊清掃」という言葉を使っている同業者が出てきたのは、当社が本格的に特殊清掃事業を始めてから数年後のこと。
以降、特殊清掃業を唄う業者は、何十・何百と、瞬く間に増加した。
各社、ホームページを飾るのは宣伝広告のため。
だから、業歴や施工実績を偽る(盛りたい)気持ちがわからないでははい。
ただ、後発の割に長すぎる業歴や多すぎる施工実績には不自然さを越えた不誠実さを感じる。
当社自身にも言えることだが、ホームページは、たくさんある判断材料の小さな一つでしかないことを覚えておきたい。
装備は?

手袋・シューズカバー・ガスマスク・防護服、洗剤・消毒剤・消臭剤、洗浄機・消臭機・薬剤噴霧器・臭気測定器、清掃用具・工具・大工道具、消耗資材等々
特殊清掃用に開発製造されたモノはほとんどなく、多目的用途のものを流用しているわけだが、高品質の作業をするためには、相応のコストをかけて多種を備え多様に駆使する必要がある。
要否、使用法、使用量は現地判断になるが、もともとの装備はあまりに乏しいと技術力が疑われる。
中には、機材・資材をろくに持たず、施工経験もないのに特殊清掃業者を自称している会社もあるようなので注意が必要である。
安い方がいい?
世の中には、「安かろう悪かろう」という言葉がある。
“値段が安いものは品質も悪い”という意味で、これは、多くのことを言い当てている。
特殊清掃も然り。
「安いから」といって安易に契約すると、逆に高くつくことがある。
ただし、「高い値だからいい仕事をする」ともかぎらない。
依頼者に特殊清掃に関する知識・見識がないことをいいことに、仕事に見合わない高額な費用を請求する会社もあるそうなので注意が必要。
費用・スタッフ・作業内容(見積書)、三つを一体的に検討して業者は選びたいものである。
口頭ではなく書面で?

口頭見積・口頭契約は論外。
依頼者側の事情により現地調査がかなわず、画像や電話による情報のみで見積(条件付)をつくることはあるが、それでも当社は書面で提出する。
見積・契約は、あくまで書面で行い、重要事項は丁寧に説明を受けること。
また、書面の見積書であっても内容が曖昧で不明瞭なものは好ましくない。
何にいくらかかるのか、わかるものでなければ意味がないし、信頼もできない。
疑問、不安に思うこと、理解できないこと等があったら、納得できるまで訊くことが大切である。
どんな人が来る?
少し昔の話になるが、現地調査に出向いた際、「もっと恐そうな人が来るのかと思っていた」といったことを言われたことが何度かある。
「反社」とまではいかなくても、世間一般が抱く特殊清掃業者の印象はそれに近いものがあるらしい。
残念ながら、事実、業界においてそういったトラブルが起こっていることを見聞きすることは少なくない。
そのせいもあり、「契約するまで居座られる」「ダマされる」「ボッたくられる」等々、陰のイメージが拭えないのだろう。
職業に貴賤があるのは仕方のないことながら、少なくとも、当社はその観念をいい意味で裏切り続けたいと考えている。
ヒューマンケアの強みは?
「長くやっていればいい」というものではないことは承知しているが、長い業歴は施工実績にも直結しており、それが技術向上と自信につながっている。
それは、単に、特別汚損をきれいにすればいいというだけのことではない。
不動産・遺産・相続・原状回復・各種の権利義務・各種の手続き等々、諸々の事情が絡み合ってくる特別汚損現場。
家主・管理会社・入居者(故人)・家族(遺族)・近隣住民、それぞれについてアドバイザー・サポーター・代理人といった役割を求められることもある。
二十数年前、同業他社という存在がない中で、草創期は何もかも暗中模索・試行錯誤。
それを乗り越え、一つ一つを糧にして現在があるわけで、当社の業歴は伊達ではない。
また、人の死が関わる現場においては、エンゼルケア事業を通じて得た遺体知見やビジネスを越えた人間味も当社固有の強みであると自負している。
ヒューマンケアの特殊清掃事例

現場は、賃貸の老朽平屋家屋。
当社の営業エリア内ではあったが、やや遠方(田舎)で空地や雑木林が目立つ長閑なエリア。
呼ばれた理由はゴミ部屋の始末。
依頼者は大家で、居住者は長い入院の末 死去。
遺産については、生前から後見人となっていた弁護士がそのまま相続財産管理人となって管理していた。
当初、大家は、便利屋みたいな仕事もしている地元の内装工事会社へ問い合わせ。
そして、工事会社も仕事を請け負うことを前提に現地調査に入った。
しかし、いざ現地に来ると、あまりの汚さに難色を示しはじめ、更にトイレでトドメが刺さったよう。
結局、「うちではできない!」と見積をつくる以前に請け負うことそのものを辞退した。
ひと口に「ゴミ部屋」といっても、ゴミの種類や量によって作業の難易度は変わる。
食品であれば腐るわけで、台所にはそれが大量に堆積。
おまけに、ネズミやゴキブリが大量に涌いて不衛生極まりない状態。
極め付きはトイレ。
便器には、糞便が面白いくらいに山盛りとなり、それが化石化。
何かのオブジェのように強烈なインパクトを放っていた。
それでも当社は、いつも通り粛々と作業。
腐敗食品やネズミに苦戦しながらも、部屋は何とか空の状態に。
トイレにおいては、糞便山を崩し、便器から掻き出し、糞便の粉が舞い上がる中 最終的には便器と貯水タンクを取り外して始末を完遂。
あとの原状回復は、先の内装工事会社に任せることとして、この現場の仕事は無事に終わったのだった。


