ヒューマンケアの事例紹介Example
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自殺・事故現場の処理事例まとめ編⑬
自殺現場の処理を請け負った案件。
残念ながら、我が国の自殺者数は、先進国の中でもトップクラス。
当方が請け負う仕事でも少なからずの件数があり、決して珍しいことではない。
また、自分を殺す方法は多種多様にあるが、日本人は縊死を選択することが多いとされる。
ただ、それも、ほんの一例。
本件では、一方は、自刃による自殺。
この場合、現場は、重度に汚染され、その光景は凄惨を極めてしまうことが多い。
もう一方は、練炭燃焼による一酸化炭素中毒自殺。
発見が遅れなければ、それによる汚染は軽症で済むが、事象が事象だけに難しい作業になることも少なくない。
どちらにしろ、心身ともに重い仕事になるのは間違いないことなのである。
①特殊清掃(自刃自殺)【東京都江東区】
血痕清掃はお任せください!
現場は、1Kの賃貸アパート。
そこで、住人が自刃自殺。
ただ、手首を切っても即死するわけではない。
何を考え、何を思っていたのか、故人は、血を流しながら部屋中を徘徊。
そして、最期は台所で倒れ、そこで息絶えたのだった。
部屋は、とにかく血だらけ。
凄惨極まりない状態。
血の着いた手であちこち触ったのだろう、部屋にある家財や壁も汚染。
大半は黒ずんだ小豆色だったが、場所によっては鮮烈な赤もあれば、ドス黒くなっているところも。
また、血液はかなり乾いていたものの、それでも、それなりの血生臭さが充満。
とにもかくにも、目を覆いたくなるような光景が広がっていた。
作業を依頼してきたのは、アパートの管理会社。
故人に血縁者はいたが、遠縁で関係も疎遠。
しかも、死因は「自殺」で、そのことが重圧になったのか、関わり合いになりたがらず。
法的な義務もなく、早々と後始末を放棄。
しかし、大家や他住人の手前、この惨状をいつまでも放置しておくわけにはいかない。
管理会社は、一刻も早く処理することを迫られていた。
そこで、当社に特殊清掃を依頼。
慣れたこととはいえ、最初の現地調査のときは、少なからずの動揺があった。
しかし、それで躊躇していては、仕事にならない。
また、実際に施工する際のメンタルにも影響する。
深いことは考えないよう努めて、室内にある物理的な汚損を観察することに集中した。
特殊清掃は、なかなかハードなものに。
血痕は、結構な厚みがあり、血塊になって石のように固くなっている部分も。
何より、汚染個所が広大。
あまりに広い範囲が汚染されており、ただでさえ折れそうだった心が、“ダメ押し”を喰ったような気分に。
大きな汚れから片付けていったのだが、雑巾に色がつかなくなるまで繰り返し洗浄・清拭。
最終段階は、故人が少し触っただけのところや、雫のように飛び散った小さな血痕を探しての清掃。
その血痕は、一つ消せば、また一つ見つかるような始末で、かなり根気のいる作業となり、心身ともに難儀する作業になった。
自画自賛するような雰囲気はなかったが、作業後、部屋はかなりきれいに。
管理会社の担当者にも確認してもらい、作業成果については、充分に納得してもらえた。
ただ、この先、山積する問題を片付けていかなければならないことを考えると、故人・管理会社・大家、三者三様に気の毒に思えたのだった。
作業場所 | 賃貸アパート |
---|---|
依頼内容 | 特殊清掃・簡易消毒 |
作業時間 | 3時間 |
作業人数 | 1名 |
作業料金 | 50,000円(税別) |
江東区周辺の対応地域
大田区 品川区 港区 中央区 墨田区 江戸川区
②練炭自殺車両の消毒【東京都中央区】
乗用車・タクシー・バスなど乗り物の消臭消毒も承ります!
作業対象は自家用の一般車両。
その持ち主が車内で練炭燃焼による一酸化炭素中毒で自殺。
ただ、発見は早く、遺体は特有の変色と死後硬直があったくらい。
腐敗らしい腐敗はなく、それにともなう汚染も異臭も発生しておらず。
それでも、一般の人にとっては、近寄り難い雰囲気があったようだった。
余程、程度のいい状態ならまだしも、この車両は、もともと旧型であったし、こんなことがあった車両は、まず再利用しないはず。
廃車処分でスクラップになるしかなかったのだが、その処分業者が難色を示した。
起こったことを考えると、精神的に抵抗を覚えるのはやむを得ない。
それ故、「清掃と消毒をキチンとやってもらってからでないと引き取れない」とのこと。
とりわけ、自殺の痕跡を消すことは、強く要望された。
その作業の難易度は「軽度」。
やることといったら、破砕したガラス片の始末、座席に少量付着した体液の清掃、車内の消毒。
そして、警察が車から出したのだろうか、外に置かれた七輪(炭)の処分くらい。
ただ、それは自殺の現場となった車両。
物理的にはただの車なのだが、独特の雰囲気があり、気になる人にとっては、いつまでも気になるよう。
少しでも気が楽になるよう、引き取りにきた処分業者に、清掃・消毒の作業内容を説明。
しかし、それでも、作業員の浮かない表情は変わらなかった。
要望された作業はキチンと済ませてある。
また、タイヤもパンクしておらず、バッテリーもあがっておらず、燃料も残っている。
車検も切れていないし、鍵もあり、自走できる状態。
それでも、作業員は、車に乗り込むことに抵抗があるよう。
「何だか怖い」「何となく気持ち悪い」、そんな心持ちだったのだろう。
社命の仕事だから逃げるわけにはいかないのだが、本音のところは、車に触るのもイヤみたいだった。
そうは言っても、車をキャリアカーに積載する作業を当方が代わってやるわけにはいかず。
その経験もなければ技術もないわけで、不手際があって事故でも起きたら元も子もない。
結局、及び腰の作業員を遠巻きにサポートすることしかできず。
作業員に多少の戸惑いはあったものの、車両は、何とかキャリアカーに積載。
そして、手際よく荷台に固定され、そのまま、そそくさと処分場所へ出発していった。
そこには、故人の遺族も関係者もおらず。
来る必要がなかったから来なかったのかもしれなかったが、あまりに静かに終了。
故人の死に悼みを覚えたわけでもなかったが、廃車の運命にある車両を見送っていると、何とも言えない寂しさを覚えたのだった。
作業場所 | 一般車両内 |
---|---|
依頼内容 | 清掃と消毒 |
作業時間 | 2時間 |
作業人数 | 1名 |
作業料金 | 20,000円(税別) |
中央区周辺の対応地域
千代田区 港区 台東区 墨田区 江東区
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生前整理 その他 消毒・消臭
生前整理事例まとめ編㉙
昨今では「終活」とも言われるが、一件は生前整理の案件。
もう一件は、住人が亡くなったあと、しばらく放置された家屋の片づけをした案件。
昨今では、「断捨離」という言葉は一般化しているが、何も、それは物理的に、モノを“断ち”“”捨て“”離す“ことだけを指すものではない。
「モノに執着しない」ということの大切さを表す言葉でもある。
もちろん、持っているモノの中には、代々受け継ぐ価値のあるモノ、金銭的な価値が高いモノ、他の誰かが再使用できるモノ、社会が再利用できるモノもあるだろう。
しかし、結局のところ、命は有限で、人生には終わりがある。
どんなに愛着を持とうが、どんなに執着しようが、人は、すべてを手放して逝かなければならない。
そして、自分の身体はゴミ同然の灰骨となり、残されたモノのほとんどはゴミとなる。
そう考えると、断捨離の意味と大切さが、しみじみと理解できてくるような気がするのである。


