ヒューマンケアの事例紹介Example
依頼者不在の案件・依頼者了承を得た案件のみ掲載をしています
現場は鉄筋コンクリート造の一般的な単身者向けマンションで、間取りは1K、専有面積は約25平方メートルであった。玄関からキッチン、居室へと続く標準的な構造である。遺体は居室内で発見されたが、発見までの時間が比較的短かったこと、また季節が冬季で室温が低かったこともあり、遺体の腐敗はほとんど進行していなかった。体液の大きな流出や強い腐敗臭も確認されず、いわゆる特殊清掃を要する著しい汚染は限定的であった。
一方で、室内の生活環境は著しく乱れており、いわゆるゴミ屋敷状態であった。居室内にはコンビニエンスストアの弁当容器、ペットボトル、空き缶、日用品の包装材、未開封の郵便物などが床一面に堆積し、足の踏み場が限られている状況であった。キッチンには洗浄されていない食器が放置され、シンク内には生ゴミが滞留していた。浴室およびトイレも長期間清掃が行われていない様子で、水垢やカビの付着が認められた。悪臭については生ゴミ由来の生活臭が中心であり、遺体由来の臭気はほとんど感じられなかった。
管理会社立会いのもとで室内状況の確認から開始した。賃貸物件であるため、原状回復範囲の確認と、残置物の取り扱いについて依頼者および管理会社双方と事前協議を行った。貴重品、重要書類、通帳、印鑑、身分証明書等の探索を優先事項とし、仕分け作業の計画を策定した。
初日は分別作業を中心に実施した。可燃ごみ、不燃ごみ、資源ごみを自治体の分別基準に従い仕分けし、袋詰めを行った。堆積したゴミの下から家電製品や衣類、書籍等が出てくる状況であり、誤廃棄防止のため全量目視確認を徹底した。郵便物の中からは公共料金の請求書や勤務先からの書類が確認され、これらは依頼者へ返却するため別途保管した。現金や有価証券等の高額動産は確認されなかったが、財布、キャッシュカード、スマートフォン等の重要物は発見し、記録のうえ保全した。
ゴミの搬出後、室内全体の清掃作業へ移行した。床面は長期間にわたり飲料のこぼれや食品残渣が付着していたため、洗浄剤を用いた拭き上げを複数回実施した。キッチンは油分と腐敗した食品汚れの除去を行い、シンクおよび排水口の洗浄・消毒を実施した。浴室とトイレは専用洗剤により水垢、カビを除去し、衛生状態を回復させた。遺体があった箇所については、目立った体液の浸潤は認められなかったものの、消毒処理を行い、床材表面の除菌清拭を実施した。
臭気対策としては、生活臭の除去を目的に室内換気を徹底し、オゾン脱臭機による空間処理を実施した。施工後、管理会社立会いのもと臭気確認を行い、異常がないことを確認した。冬季であったこともあり、害虫の発生は認められなかった。
残置物のうち、家財として再利用困難な家具・家電は依頼者の承諾を得て処分手配を行った。衣類や思い出の品については、段ボールに梱包し、写真記録を添えて依頼者へ発送した。
作業期間は延べ2日間、作業員は各日2名体制で対応した。搬出ごみ総量は約2トントラック1台分相当となった。最終日には簡易的な原状回復清掃を完了し、管理会社へ鍵を返却した。後日、依頼者へ作業前後の写真報告書および明細書を送付し、作業内容の説明を電話にて実施した。
本件は発見までの期間が短く、遺体損傷や広範囲な体液汚染がなかったため、大規模な特殊清掃や内装解体を伴う事案ではなかった。しかしながら、長期間にわたり蓄積された生活ごみの処理には相応の作業量を要し、賃貸物件としての原状回復を見据えた整理・清掃が必要であった。ご両親は遠方在住で現地確認が困難であったことから、写真および書面による詳細報告を重視し、透明性のある作業進行に努めた。
単身世帯における孤立や生活環境の悪化は、外部から把握しにくい側面がある。本件においても、勤務先の同僚による訪問が早期発見につながった事例であった。
結果として物件への物理的損傷は最小限に留まり、原状回復費用も限定的な範囲で収まった。
| 作業場所 | 1K賃貸マンション |
|---|---|
| 依頼内容 | ゴミの片付け、遺品整理、消毒作業 |
| 作業時間 | 延べ2日 |
| 作業人数 | 延べ4名 |
| 作業料金 | ― |
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ヒューマンケアの事例紹介Example
特殊清掃 遺品整理 消毒・消臭
孤独死した遺体が腐敗してしまった事例まとめ編㉚
住人が孤独死し、その遺体が重度に腐敗してしまった案件。
動物でも植物でも、命を失ったものが物理的に朽ち果てていくのは自然の理。
それは、ウジやハエ等の虫をはじめ、細菌やバクテリア等の微生物、つまり、“新たに生まれた命”による業。
その環境があれば、人間の肉体も、“彼ら”の手を借りて土に還ることができるのだが、わが国の葬法は火葬が主体であるから、現実には、難しいところがある。
ましてや、孤独死の後の腐乱となると、厳粛に火葬することすらままならないことが多い。
人が死ぬことも、その肉体が朽ちていくことも、自然の摂理であり、自然の現象なのだが、それを冷静に受け入れることができないのも、また人。
ただ、生まれること、生きること、死ぬこと、すべて“生命の営み”なのだから、現場の凄惨さばかりに心を奪われることなく、人の人生を大切に想うようにしていきたいものである。









