ヒューマンケアの事例紹介Example
依頼者不在の案件・依頼者了承を得た案件のみ掲載をしています
発見後、遺体搬送までは行われていたものの、室内には腐敗臭および体液由来の汚染が残存しており、通常清掃では対応困難な状態であった。
入室時点で室内には強い残留臭があり、特に和室部分において腐敗臭が顕著であった。季節は立冬で外気温は低下していたものの、長期間閉め切られていた影響により室内には臭気が滞留していた。
布団および畳は遺体体液で汚れており、さらに遺体由来脂肪分は畳下地まで浸透していた。調査の結果、汚染は畳床のみでは止まらず、下地合板を完全に貫通し、さらに根太部分にまで達している可能性ありと判断した。
体液浸潤範囲を確認するため、まず室内養生を実施。共用部への臭気拡散防止のため、玄関開口部および換気経路を限定した上で作業を開始した。
公営団地であることから、近隣住民への影響を最小限に抑える必要があり、搬出動線にも配慮した。
初期工程として、残置されていた布団、寝具類、畳表、畳床の撤去を実施。畳を上げた時点で、合板表面に広範囲の黒変および油脂浸潤を確認した。腐敗に伴う遺体脂は木質内部に深く浸透しており、表面清掃のみでの除去は不可能と判断した。
その後、床下地解体作業へ移行。汚染箇所周辺の合板を切除したところ、裏面まで完全に浸透している状態を確認した。さらに根太材にも油脂成分および臭気付着が認められたため、部分的な削り処理および薬剤洗浄を併用した。
根太は構造材であるため全撤去は行わず、表層研磨後に専用薬剤による分解除菌処理を実施。臭気原因物質を可能な限り除去した上で、乾燥工程へ移行した。
孤独死現場では、腐敗臭の原因が単純な汚れではなく、タンパク質分解物質や脂肪酸成分であるケースが多い。本件でも通常の消臭剤では効果が期待できないため、分解除去型薬剤を使用し複数回処理を実施した。
また、長期間経過した現場特有の問題として、臭気成分が壁面および天井クロスにも吸着していた。特に和室特有の木部には臭気残留が発生しやすく、床面のみ処理しても完全な改善には至らない状況であった。
そのため、床下処理後には室内全体の薬剤噴霧を実施し、建材表面への消臭施工を行った。加えて、オゾン燻蒸機による室内処理を数日間実施。閉鎖空間内でオゾン濃度を管理しながら、臭気低減作業を継続した。
発見から3カ月経過していたこともあり、臭気が建材内部へ定着していた。特に合板内部へ浸透した遺体脂は時間経過とともに酸化し、独特の残留臭を発生させる。そのため、汚染部材の物理的撤去が極めて重要となる事例であった。
作業期間は延べ3週間。特殊清掃、床解体、除菌消臭処理、廃棄物搬出までを実施し、その後リフォーム会社へ引き渡しを行った。
近年、公営住宅における単身高齢者の孤独死案件は増加傾向にある。特に身寄りのない生活保護受給者の場合、発見や対応が遅れるケースも少なくない。発見までの日数に比例して、汚染範囲および原状回復費用は拡大する傾向がある。
また、和室は畳が体液を吸収しやすく、さらに畳下地の木材へ浸透しやすい構造となっている。今回のように根太まで浸潤した場合、通常清掃では対応できず、解体を伴う特殊清掃が必要となる。
弊社では、孤独死現場における特殊清掃、除菌消臭、汚染部撤去、原状回復前処理まで一括対応を行っている。集合住宅案件においても、近隣配慮および共用部養生を徹底し、管理者および施工業者との連携を図りながら作業を実施している。
今回の事例では、床下構造部まで汚染が到達していたため、通常よりも広範囲の処理を必要とした。しかし、適切な解体および除菌消臭工程を行うことで、後工程となるリフォーム作業へ安全に引き継ぐことが可能となった。
孤独死現場は、時間経過によって状況が大きく変化する。発見後、適切な処置を早期に行うことが、臭気拡散防止および建材被害軽減につながる重要な要素である。
| 作業場所 | 2K 公営住宅 |
|---|---|
| 依頼内容 | 特殊清掃、解体、消臭消毒 |
| 作業時間 | 延べ3週間 |
| 作業人数 | 延べ5名 |
| 作業料金 | ― |
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孤独死部屋の処理事例まとめ編⑰
孤独死が発生したが、その汚染が軽症だった案件。
気温や湿度に大きく影響されるけど、原則として、発見が早ければ早いほど、遺体による汚染は軽く済む。
もちろん、寒冷低湿の冬場でも、エアコンやホットカーペットなどの暖房器具によって、遺体が深刻なまでに傷んでしまうこともあるが。
本件は二件とも冬場の出来事で、暖房も動いておらず、汚染は軽症でおさまっていた。
ということは、建物に対する損害も抑えられ、特殊清掃・消臭消毒の作業も、それほどハードなものは必要ないということ。
「孤独死」という、起こった出来事は残念なことだったかもしれなかったが、大家の負担も遺族の負担も、比較的、軽く済んだ。
こういうことが起こると、関わる人は心の余裕をなくしがちだが、本件では、遺族も大家も、故人の死を悼む気持ちが持てたようで、心に平安を感じるものがあった。









